今回の7万円の負担増の妥当性、
今後の政府の見通しや、
今回の評価について考えてみたいと思います。
昨日のBlogで書かせて頂いた
日本の2020年までの
温室効果ガス削減目標についての第2弾です。
麻生首相は、家計にも負担が必要と力こめて言っておられました。
「これは、我々の地球を守るコストです」と。
政府の試算では、現在の省エネ努力を継続した場合と比べたとき、
2020年には1世帯あたり、年間約7万6000円の負担増になるとのこと。
2020年の日本を政府は描いてくれました。
・「炭素税」を導入
ガソリン1リットルあたり約30円の上乗せ。
・労働時間の短縮
家計の可処分所得は年間約4万3000円減、
・燃料費の値上がり
光熱費は年間約3万3000円増。
しかし2020年には
家計の所得も数十万円増える見通しで、
7万6000円の負担はそれほど重くはない。とのこと。
<Yahoo!ニュース>
温室ガス削減で光熱費年3万円増…それでも「不十分」の声
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090611-00000062-yom-soci
「なるほど〜!所得も増えるのか〜」
と、この記事を読んで思いましたが・・・
「本当に増えるのだろうか?」と少し思いました。
早速調べてみることにします。
内閣府HP 国民生活政策ホームページ>国民生活白書
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/html/sr02.html
のページに
家計、所得格差・資産格差の過去の統計がありました。
最新のもので、2004年までしかありませんが、
当時の日経平均株価が、11000円前後でしたので
現在の方がかなり多いということは考えにくいと思います。
グラフを見てみますと2004年の可処分所得は「444,966円」。
1990年が440,539円。1991年が463,862円。
20年間近く、家計の所得はあまり変わっていない計算になります。
その間のピークは1997年の497,036円。
本当に11年後には
家計の所得も数十万円増える見通し
なのでしょうか。
今回の、2005年比15%減は、
世界や国内からどのような評価を受けている
のかというと
欧州連合(EU)の環境相にあたる
スタブロス・ディマス環境政策担当欧州委員は
11日、日本政府が発表した2020年までの
温室効果ガス削減の中期目標について、
先進国に求められる削減目標とは
「依然として相当な開きがある」と述べ、不十分との認識を示した。
<Yahoo!ニュース>
日本の温室ガス削減目標、不十分との認識…EU環境相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090612-00000507-yom-soci
デブア国連気候変動枠組み条約事務局長は10日の会見で、
日本案へのコメントを避けつつも
「中期目標を公表した先進国の削減幅は科学者の要請には遠い。
今後の交渉で『野心的目標』のレベルはさらに高くならねばならない」と述べた。
インド政府代表は「不十分だ。科学は先進国に90年比40%減を
要請している。自分は省エネが進んでいるからしないが、
お前は削減しろというのはリーダーシップではない」と批判した。
<Yahoo!ニュース>
<温室ガス削減目標>国際社会、厳しい声−−90年比軸、05年比採用は不透明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090611-00000018-maiall-int
中国の気候変動交渉担当の于慶泰特別代表は、
気候変動に責任を負うよう求められる水準を「かなり下回っている」と述べた。
気候変動に関する会議に参加するため当地を訪れた代表は、
ロイターに対し「(同数値目標は)日本が負うべきかつ必要とされる
水準に近いとは考えていない。国際的な気候変動への取り組みに
相応の貢献をするには何をすべきかを日本は真剣に検討すべきだ」と語った。
<Yahoo!ニュース>
日本の温室ガス削減目標、必要水準を大幅に下回る=中国の気候変動大使
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090611-00000939-reu-bus_all
実際に今回の、温室効果ガスの排出量・中期目標
2020年までで2005年比15%減(90年比8%減)の削減では
「不十分」と世界に言われてしまった格好になりました。
野党からも言われております。
90年比25%減を掲げる民主党の岡田克也幹事長は記者会見で
「日本が低い数字を述べる中で、途上国、中国、インドに
枠組みに参加しろと(言うの)は不可能だ」と指摘。
30%減を主張する共産党の志位和夫委員長は記者団に
「基準年を変えることが全く通用しない。
とうてい国際社会で受け入れられない」と酷評し、
30%以上減を掲げる社民党の福島瑞穂党首も
「日本は京都議定書を主導したのにやる気があるのか」と批判した。
<Yahoo!ニュース>
温室ガス削減 政府目標に野党から批判相次ぐ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090610-00000033-maip-pol
麻生首相は先日の、温室効果ガスの排出量・中期目標の会見で
「低炭素革命で世界をリードする。このためには、一歩前に出て、
(パブリックコメントでは、7割を超える意見が選択肢のうち、
『2005年比で4%削減』となったが)
倍の努力を払う覚悟を持つべきなのではないだろうか。そう思っております。
そこで、私は、あえて『2005年比15%削減』を
目標とすることを決断しております。」
「日本はそういった意味で、今回の目標というものは、
われわれの立場というものを強めるものであって、
十分にリーダーシップというものでいけば、
とれるものだと思っております」
と言いました。
世界を「リード」どころか、
世界は元より国内からも「駄目出し」されています。
リードするには、さらに
目標の上乗せ=負担増なのでしょうか・・・。
最後も
温室効果ガスの排出量・中期目標の
麻生首相会見の言葉で
締めくくりたいと思います。
「本日の中期目標の発表は、
まず日本の考え方を示したものです。
いわば、本格的な国際交渉に向けた第一歩とご理解ください。
今後、国際交渉の中で実際のルールが決まってきます。
日本だけが不利となることのないよう、
国際交渉に全力で取り組みます」
かなり不利な状況からのスタートのようですが、
全力で挽回してもらいたいものです。
〜ポスト京都をめぐる 今後のスケジュール〜
・6月12日まで
国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)特別作業部会(ドイツ・ボン)
・7月8日〜10日
サミット(主要国首脳会議)、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム首脳会合(イタリア・ラクイラ)
・8月10日〜14日
UNFCCC特別作業部会非公式会合(ボン)
・9月22日
気候変動に関する首脳級会合(ニューヨーク)
・9月28日〜10月9日
UNFCCC特別作業部会(バンコク)
・11月2日〜6日
UNFCCC特別作業部会(スペイン・バルセロナ)
・12月7日〜18日
UNFCCC締約国会議(COP15)=ポスト京都で合意?(コペンハーゲン)
2009年06月12日
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